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団体概要
案内マップ
組織図
会 員
事業報告
収支決算

令和元年度事業報告


Ⅰ 造水技術に関する研究開発事業
Ⅱ 造水に関する調査研究事業
Ⅲ 造水に関する普及啓発事業
Ⅳ 造水に関する研修
Ⅴ その他事業
Ⅵ 会務及び技術普及・広報事業

* (公財)JKAからの補助事業(競輪補助事業)
 19年度(PDF 12KB)
 20年度(PDF 12KB)
 21年度(PDF 12KB)  22年度(PDF 12KB)
 24年度(PDF 12KB)  25年度(PDF 184KB)
 26年度(PDF 172KB)  27年度(PDF 248KB)
  28年度(PDF 168KB)   29年度(PDF 220KB)
  30年度(PDF 204KB)   2019年度(PDF 128KB)


< 概 要 >
 令和元年度は、今後の調査事業への展開を目指した新規受託事業に注力した。研究開発事業2件、調査研究事業7件、普及啓発事業1件、研修事業1件、その他の事業6件の計17事業を実施した。これらのうち、受託事業は12件、自主事業は5件、JKA補助事業は1件である。

 造水技術に関する研究開発事業


1.効率的下水処理システムの開発

本事業は、雨天時侵入水対策としての大孔径膜処理システムを、国土交通省のB-DASH(FS調査)へ持ち込むことを目指し、既往研究成果のさらなる向上(高透過流束や大孔径膜に適した膜洗浄方法等の検証)を目的として行ったものである。
 雨天時における水質管理の推進の観点から、合流式下水道の長期的な改善目標に向けた処理レベルの向上や、分流式下水道への雨天時浸入水の効率的な処理のための技術開発が待望されている。平成29年度~30年度にかけて「ICT・観測技術の活用等による低コストで効率的な雨天時下水処理技術」をテーマとした下水道応用研究に対して、造水促進センター、京都大学、北九州市立大学、日本水工設計、フソウから成る共同研究体で、「既存施設を活用した効率的な雨天時下水処理システムの開発」と題して、大孔径膜を主体とした処理システムを提案・検討した。
 その結果をB-DASH(FS調査)事業に展開するには、膜エレメントの改良と膜の維持管理性の検討が必要であった。
 そこで、令和元年度は、自主事業としてこれらの課題を検討し、令和2年度のB-DASH(FS調査)事業に応募している。
 本事業は、本財団を研究代表者として、京都大学、北九州市立大学、()フソウ、日本水工設計()及び阿波製紙()との共同で実施しており、自主事業として実施したものである。


2.FO膜を用いた超省エネ型下水処理システムの開発研究

 本事業は、多大なエネルギーを消費することが課題とされている我が国の下水処理の主力である標準活性汚泥法とは異なり、消費エネルギーがはるかに少ない長所を有する嫌気性排水処理法(メタン発酵法)を中心とした省エネ型の下水処理システムの構築を目指している。
 提案システムでは、海水を駆動液としたFO(正浸透)膜により排水中の有機物を濃縮することで、嫌気性生物処理の条件である処理対象水中のCODを高濃度にすることができる。現在、パイロットスケールのFO膜試験ユニットをウォータープラザ北九州にて設置し、FO膜処理のシステムの特性、前処理としてのSS除去法、濃縮実証等に関するデータを収集した。令和2年3月19日の工期までに、研究報告書を提出した。
 本事業は、国土交通省から、本財団を研究代表者として、北九州市立大学、長崎大学、水ingエンジニアリング()及び日本水工設計()との共同受託事業として実施したものである。

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Ⅱ 造水に関する調査研究事業

イラク南部地域の石油精製施設等における地層水処理技術導
  入に関する共同事業

本事業は、塩分を含む地層水の処理技術をイラクに導入することを目的としている。現在までに、検討を踏まえて選定した処理プロセスからなる実証試験装置をイラク側が調達し(装置は水ingエンジニアリング㈱が製作)、イラク技術者のトレーニング(実証試験装置の操作、運転方法、設置方法等)を日本国内で実施した。
 令和元年度は、イラク側と実証試験装置の仕様の最終確認を行い、イラクに移送する予定であったがテクニカルミーティングの開催が遅れ、令和元年8月下旬、令和2年3月上旬の2回のテクニカルミーティングでようやく仕様、スケジュールについて最終確認を行い、合意した。そのため、今年度、実証試験装置を移送することは出来なかった。
 現在、イラク側、日本側、両者が移送に向けた必要な手続きを進めている。
今後のスケジュールは、令和3年3月までに現地に輸送、その後、現地での据付を行い、6カ月の実証試験を行う予定である。
 本事業は、(一財)国際石油交流センター(JCCP)から本財団と水ingエンジニアリング()との共同受託事業として実施したものである。


2.ADNOC製油所の水環境負荷低減に関する共同事業(UAE)

本事業は、水環境保全に関するものであり、ペルシャ湾に放流先を持つADNOC製油所における海水淡水化の濃縮水の処理について調査及び検証を行うもので、日本の最新技術を製油所に適用することが目的である。
 令和元年度は、実証テストを実現するため、既存の実証テスト機をUAEに持ち込むことを前提として、国内外の実施機関と打合せを行ったが、現地側との調整が遅れ、実証テスト機の持ち込みは次年度となった。
 本事業は、(一財)国際石油交流センター(JCCP)から本財団とコスモ石油()との共同受託事業として実施したものである。


3.随伴水処含有有価物回収技術の評価試験

本事業は、随伴水に含まれる有価金属類(リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr))、を回収するための安価かつ競争力の高い技術を確立し、総合的な有価金属類回収システムの構築に向けた検討をすることを目的とする。
 令和元年度は、国内のガス随伴水を用いてRO膜による濃縮試験を行うとともに、再委託先である千葉工業大学は、組成が異なる随伴水全般に適用可能な濃度線図の作成と反応晶析法による有価金属類回収法の検討、塩事業センターは、電気透析法を用いた随伴水の成分分離と有価金属類回収技術の開発に向けた検討を行い、これらの試験・検討を踏まえて有価物回収の総合システムの構築に向けた検討を行った。
 本財団は、9月下旬にRO膜による随伴水の濃縮実験を実施し、中間報告を行った。千葉工大、塩事業センターでは、RO膜濃縮水を用いて上述の検討を実施した。
 また、得られたデータをもとに総合的な有価金属類回収システムの構築のための検討会を1月下旬に実施し、全体をまとめて、報告書を作成し3月下旬にJOGMECに提出した。
 本事業は、()石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)からの委託事業として実施したものである。


4.再生水製造に関する国際標準化

本事業は、ISO/TC282「水再利用」(TC:専門委員会)の分野で、日本が強みとする再生水製造システムやそれを構成する水処理技術の性能評価方法等を国際規格として開発することにより、技術・製品の差別化を容易とし、水インフラ輸出の優位な展開に貢献するものである。水インフラの新たな市場を形成するとともに、システムやその構成製品である製造装置等の拡販に繋がり、それに伴う省エネ効果の拡大や地球温暖化対策に資するものと期待される。
 平成28年度までの3か年事業に続き、平成29年度からの3か年事業の中で、「再生水処理技術ガイドライン」として性能評価方法に関するPart 1Part 8から構成される規格を開発してきた。Part 1(一般概念)Part 2(環境性能評価)Part 8(経済性評価)、及びPart 3Part 7(個別技術の性能評価)のシリーズ規格とすることで、処理システムや構成技術の性能を総合的に評価できる規格となる。個別技術は、Part 3(オゾン処理)Part 4(紫外線消毒)Part 5(膜ろ過)Part 6(イオン交換)Part 7(促進酸化)5技術である(促進酸化は、韓国の提案による)
 平成30年度にPart 1を国際規格(IS)として発行したのに続き、令和元年度は、Part 2IS発行したほか、Part 3Part 7についてDIS(国際規格原案)まで改訂を進めた。また、Part 8については、処理技術の経済性をライフサイクルコスト(LCC)で評価する新しい規格として、WD(作業原案)を作成し、さらにCD(委員会原案)の投票段階まで進めた。
 規格開発にあたっては、性能評価指標や評価方法の妥当性の裏付けとするため、ウォータープラザ北九州を活用し、再生水の水質リスク低減や省エネ効果、性能の安定性に関する実証データを継続して取得している。
 なお、本事業は、京都大学、及び関係する民間企業や協会と共同し、国土交通省が国内審議団体を行うISO/TC282の専門委員会とも連携している。
 本事業は、()野村総合研究所からの委託事業として実施したものである。


5.国内外における下・排水再生利用実用例調査

本事業は、下水や各種工場の排水処理・再生利用の実用例はそれぞれの分野でまとめられてきたが、再生水を利用する立場からするとこれら各種の事例に関しては、排水処理、再生処理技術等に関して体系的にまとめられていないのが実状である。そこで、国内外の下・排水再利用現場を調査すると同時に、過去10年間における下・排水再利用の文献、資料などを調査し、ユーザー側の視点から今までの下・排水再利用を業種別・国別などに分類した事例集を作成するものである。
 国内外の下水や各種工場の排水処理・再生利用に関して、JICST(日本科学技術情報センター)により、主要なキーワードによる文献検索を行うとともに、造水関係シンポジウム、業界専門誌、インターネット等の調査、収集を行い、その中で重要と思われる文献に関して分類をし、所定のフォーマットへの記入作業中を行った。
 現地調査としては、SD工場、福岡市水処理センター及びウォータープラザ北九州の調査を行った。
 また、米国の下水再利用の概要、各国の再生水利用の基準等に関して長崎大学藤岡准教授と情報交換を行うとともに、下・排水再利用事例報告書についてのまとめ方、今後の展開等については、京都大学田中教授にアドバイスを得た。
 本事業は、(公財)JKAの補助事業として実施したものである。


6.水の効率運用評価指標ガイドライン作成予備調査

本事業は、水使用に関する世界的な動向を踏まえ、工場等における水使用に関して適正な評価がなされるよう水使用合理化の効果を評価する新たな手法の確立と普及促進を目指すものである。
 工場等における効率的な水使用合理化の評価を世界に通用する指標により適切に行い、それに基づき対策すること及び環境影響への対応を広くアピールすることは、多岐にわたる各種産業の経営の強化あるいはグローバル展開を図るうえで必要不可欠である。
 本事業に先立ち、平成29、30年度に『工場を製品と見立てたウォーターフットプリント的検討手法』による新しい評価指標について、実際の工場を対象として算定を行い、具体的な効果の提示と適用時の課題についての抽出検討を実施した。その結果、実際に当該指標を使用するに当たり、使用者の利用上の便宜向上を図ることが必要であることが課題として挙がり、その導入促進のためには具体的な適用方法を事例として提示するとともに、適用のためのガイドライン化が必要であると考えられた。
 令和元年度は、当該指標の普及促進をより一層図るため、具体的な適用事例検討とガイドライン化についての調査・検討を実施した。
 適用事例検討として火力発電所の回収水利用における集約-分散型システムについての算定を行い、比較検討を行った。その結果、同所における分散型システムの優位性を示すことができた。なお、本検討は、一般的な集約-分散型システムの比較検討に応用することが可能であると考えられる。
 また、ガイドライン化についての調査・検討では、当該ガイドラインとして必要な要件について、考慮すべき項目を目次案として示した。
 本事業は、本財団の自主事業として実施したものである。


7.海外工業生産における水利用の国際規格開発

本事業は、平成28年度から開始し、海外での工業生産活動に関係するTC224/WG12「水効率管理」やTC8/SC13/WG3「海水淡水化」について国際規格の開発動向を把握し、改善や活用に関する提案をするものである。特に、開発される規格が、日本企業の生産活動に不利益を生じることなく、また、優れた水利用技術が適正に評価されるよう、規格内容の改善提案を行う。
 「水効率管理」は、シンガポールが、国内で2013年(平成25年)から施行しているSS577規格をベースに、認証付きの国際規格をめざして提案したもので、各事業所による節水を目的に、継続的に目標設定、計画、実行、見直しを義務付けるものである。その手段となる水再利用については、TC282「水再利用」の規格を参考にできる旨の追加を日本から提案した。規格のドラフトは、平成30年3月のシアトル会議や12月のWeb会議での議論を経て、2019年(令和元年)7月にISとして発行された。
 令和元年度は、認証規格としての発行状況の詳細と、シンガポールにおける発行後の運用や認証のための仕組みづくりの動向を調査するとともに、民間企業など関係者と情報共有した。
 「海水淡水化」は、平成30年に中国による新作業項目(NP)提案が承認され、ドラフトの作成が開始されたことから、令和元年度も、引続き本財団会員による情報の収集を行い、中国から提出された作業原案(WD)について関係者と共有した対応の検討を開始した。
 本事業は、本財団の自主事業として実施したものである。

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 造水に関する普及啓発事業

国内外への造水関連技術の普及促進活動

本事業は、世界的に水不足、水質の悪化などの水に関する問題が発生している等の課題に対して、これまでに本財団が蓄積してきた各種の造水技術に関する情報発信を行い、普及・促進することにより日本の企業の海外への水ビジネス展開に寄与することを目的としている。
 令和元年度は、下記の事業を実施した。
(1)英語版及び日本語版造水技術データベースの修正、追加を実施して、情報発信を行った。
(2)国内外の水関連国際会議、展示会、シンポジウム等に積極的に参加して造水技術に関する普及促進を行った。
(3)日本の造水技術を紹介するため、国内外に職員等を派遣し、水に関する情報収集を行い、造水技術の普及促進を図った。
(4)第26回造水シンポジウムを令和2年2月6日(木)に開催し、約110名の参加者があり成功裏に終了した。

◇テーマ:水ビジネスの海外展開戦略と再生水利用の技術課題の現状
◇主 催:一般財団法人造水促進センター
◇後 援:経済産業省、環境省、一般社団法人日本工業用水協会、特定非営利活動法人日本オゾン協会、NPO法人JDA協会、日本液体清澄化技術工業会、一般社団法人膜分離技術振興協会、日本膜学会、公益社団法人日本水環境学会、日本水道新聞社、水道産業新聞社
◇日 時:令和2年2月6日(木)13:00~16:50
◇会 場:「主婦会館プラザエフ」地下2階「クラルテ」
◇参加者:110名
◇講 演:
 「アジアにおける水環境改善ビジネス展開について」
   環境省水・大気環境局水環境課 下水道係長   松 本 信 也
 「下水再生利用における海外の最新情報」
    京都大学大学院工学研究科附属
    流域圏総合環境質研究センター 教授      田 中 宏 明
 「北アフリカ(チュニジア)における水事情と水ビジネスの展開」
   日本テクノ株式会社 顧問           上 村 順 一
 「東南アジアでの水関連プロジェクト事例紹介」
    株式会社ナガオカ水事業本部・環境プロジェクト部
 
    環境営業課係長                西 村 拓 朗
 「造水関連における国際標準化の最新動向」
      一般財団法人造水促進センター 技術部担当部長  中 村 裕 紀
本事業は、本財団の自主事業として実施したものである。

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 造水に関する研修 

1.造水技術に関する海外技術者研修

本研修事業は、主に日本の排水処理・再利用、海水淡水化等の技術紹介を中心として実施するものである。
 令和元年度は、近年、工業発展がめざましく、同時に各種環境問題を抱えていると思われる中東・東欧諸国等を対象とした。
 招聘した研修生はイラン、セルビアより各1名、計2名で、9月2日()から9月14日()に実施し無事終了し、報告書を作成して本事業を終了した。
 研修生の所属部署は以下の通り。
イラク:シラズ大学 化学・オイル&ガス工学部
    (Shiraz University Faculty of Chemical, Oil and Gas
     Engineering, Shiraz, Fars Province, Iran)

セルビア:西バチュカ郡ソンボール市 上下水処理建設技術部
    (Water production, distribution and wastewater treatment
     of Construction and technical support Division. Sombor,
     West Bačka District, Serbia)
 本事業は、本財団の自主事業として実施したものである。

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Ⅴ その他事業

1.造水技術に関する技術評価
 本事業は、これまでに本財団が蓄積してきた海水淡水化、産業排水処理、再利用関連、その他造水技術に関する技術を基に、収益事業として実施するものである。
 日本国内においては、水処理設備向けに高効率、新素材を採用した先進的なシステム、製品等の開発が進められている。しかしながら、これらの先進的なシステム等は、水処理設備に直ちに導入展開する状況に至っていないものもある。そこで、造水技術に関する技術評価制度によってこれらの技術を用いたシステム、製品等の適合性及び実用性の評価を行うことで、当該技術を用いたシステム、製品等を早期に普及促進させることを目的とする。
 本事業は、外部からの委託事業として実施するものであるが、令和元年度の申請はなかった。

2.R1海水淡水化施設更新検討等業務

本事業は、建設後10年以上経過した大型海水淡水化施設更新に関する平成30年度の検討結果において実現性の見込みのあった各モデルケースについて、年間を通して必要な生産水量と水質の確保について詳細検討を行った。また、浸透取水海水の水質が良好で安定であることから海水淡水化の前処理として採用されているUF膜省略の実現可能性を検討する調査について学識経験者からの意見聴取等の取り纏めを実施し、同調査の全体監修を行った。
 各モデルケースについて、詳細検討を行ったほか、令和元年8月7日と令和2年2月26日に技術検討委員会を開催した。これらを取りまとめ報告書を提出した。
本事業は、福岡地区水道企業団からの委託事業として実施したものである。


3.担体添加型MBRの共同開発事業

本事業は、MBRの膜ファウリングを低減するため、繊維状担体を固定床としてスケルトンのカプセル容器に入れ、これをMBR槽に添加することで、原生動物・後生動物の集積により、多様かつ高次な生物叢の構成を図り、膜ファウリングを抑制した新規なMBRの構築を目指すことを目的とする。
 会員企業と東京農工大は、人工下水を用いた小型試験機でこの効果を確認しているが、本事業では、実証規模のウォータープラザ北九州のMBR設備で実下水を用いて、MBRのバイオファウリング抑制の効果を実証するものである。
 担体添加MBRの本格運転を令和元年2月から開始し、膜のファウリング状況を示す指標として数週間薬品洗浄を行わないときの膜ろ過圧の増加傾向を調べた。その結果、運転開始して1か月後では膜ろ過圧の上昇は担体無添加での運転と変わらない傾向を示したが、微生物叢の馴養が進んだ4か月後には膜ろ過圧の上昇が約4分の1に抑えられることを確認した。これにより、1週間に1度行っている薬品洗浄が1月に1回で済むことになり、洗浄薬品や人件費等のメンテナンスコストを低減できる見通しを得た。その後、夏場のデータを取得するとともに、約1年後の低水温時でも同様に膜ろ過圧の上昇を約4分の1に抑制できることを確認した。
 これらの実験データと、東京農工大等で測定している微生物叢の変化とを総合的に考察し、実用化に向けた基礎固めを進めた。
 本事業は、会員企業及び東京農工大との共同研究で実施したものである。


4.地下水使用合理化計画審査・指導業務

 本事業は、石川県の「ふるさと石川の環境を守り育てる条例」に基づき、年間の地下水採取量が40万m3を超えた事業者(現在29事業者)に提出が義務づけられた「地下水使用合理化計画」について地下水使用の適正化に係る審査並びに水使用状況の実態調査と合理化技術指導を目的とする。
 現地調査対象3事業所についてのアンケート及び調査を実施するとともに、他の3事業所について合理化指導を実施した。また、条例に基づき提出された29事業所の地下水使用合理化計画についての書類審査を実施した。
 本事業は、石川県からの委託事業として実施したものである。


5.研究開発コンサルタント業務

 本事業は、研究開発についてコンサルティングを実施するものである。
 企業が開発中のテーマについて、研究の進め方、調査の仕方、データの取得などについてアドバイスを月1回の実施で行った。
 本事業は、会員企業からの委託事業として実施したものである。


6.省エネ型新規MBR膜モジュールの実証研究

本事業は新型散気管ならびにダブルデッキを適用した省エネ型新規膜モジュールについて実プラント規模の実証試験を行い、曝気空気量の低減を主体とした省エネ効果と、長期連続運転における安定性を確認し、MBRの更なる省エネ化を図ることを目的とする。
 令和元年度は、ウォータープラザ北九州のMBR設備に新型膜モジュールの設置工事を終了し、9月中旬から馴養運転を開始した。さらに令和2年2月下旬には膜モジュールを吊り上げ、膜エレメントへの汚泥付着状況等の観察を行い、特に問題ないことを確認した。本実証実験を来年度も継続して実施し、長期運転における省エネ効果を検証する。
 本事業は、会員企業と共同で実施したものである。

   

7.水道施設の効率可能性調査支援事業

本事業は、会員外企業が厚生労働省から受託した「水ビジネスの海外展開と動向把握の方策に関する調査検討業務」に関して、国内企業の海外展開に関する方策等について、情報提供等の支援を行った。
本事業は、会員外企業からの委託事業として実施したものである。


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Ⅴ 会務及び技術普及・広報事業

1.会 務

(1)会 員
 令和2年3月末日現在の会員数は、地方自治体28、工業用水使用業界等7、造水関連企業等38計73となっている。
(2) 評議員会 定款第23条の規定に基づき次のとおり評議員会を開催し、議案に
 ついて審議を行い、原案どおり異議なく承認された。

 
第20回評議員会
日 時 令和元年6月27日(木)11:00~12:00
場 所 一般財団法人造水促進センター「会議室」

議 案

第1号議案 評議員の選任について
第2号議案 理事の選任について
第3号議案 平成30年度事業報告について
第4号議案 平成30年度収支決算について

報告事項

1.平成30年度公益目的支出計画実績報告書について
2.平成元年度自転車等機械工業振興資金による事業の実施について
3.平成元年度事業経過報告について
4.第四次中期計画について
5.次期代表理事及び業務執行理事について


 ◇第21回評議員会(臨時)
日 時 令和223日(月)1100~12:0
場 所 一般財団法人造水促進センター「会議室」

議 案

第1号議案 理事の選任について
第2号議案 令和2年度事業計画及び収支予算について

報告事項  令和元年度事業経過報告及び収支状況について

(3)理事会
定款第40条の規定に基づき次のとおり理事会を開催し、会務に
 関する議案について審議を行い、原案どおり異議なく承認された。

 第30回理事会
日 時 令和元年6月6日(木)15:00~16:00
場 所 一般財団法人造水促進センター「会議室」

議 案

第1号議案 平成30年度事業報告について
第2号議案 平成30年度収支決算について
第3号議案 平成30年度公益目的支出計画実績報告書について
第4号議案 令和元年度自転車等機械工業振興資金による事業の
      実施について
第5号議案 顧問の推薦について
第6号議案 定時評議員会の開催について

報告事項

1.令和元度事業経過報告について
2.第四次中期計画について
3.次期代表理事及び業務執行理事について

 
第31回理事会(臨時)
日 時 令和元年10月31日(木)15:00~16:00
場 所 一般財団法人造水促進センター「会議室」

報告事項 令和元年度事業経過報告及び収支状況について

 ◇第32回理事会

日 時 令和2年3月3日(火)15:00~16:00
場 所 一般財団法人造水促進センター「会議室」

議 案

第1号議案 令和2年度事業計画及び収支予算について
第2号議案 臨時評議員会の開催について

報告事項
令和元年度事業経過報告及び収支状況について

(4)事業評価委員会
事業評価委員会規程に基づき次のとおり開催し、議題の
 審議を行い、異議なく承認された。

第18回事業評価委員会
日 時 令和元年5月30日(木)16:00~17:00
場 所 一般財団法人造水促進センター「会議室」

議 題
1.平成30年度公益目的自主事業報告等について
2.令和元年度公益目的自主事業の進捗状況について
3.その他

第19回事業評価委員会
日 時 令和2年2月7日(金)11:00~12:00
場 所 一般財団法人造水促進センター「会議室」

議 題
1.令和元年度事業進捗状況について
2.令和2年度公益目的自主事業について
3.その他

(5)会員会
会員会規程に基づき次のとおり開催し、情報交換及び情報の提供
 を行った。
日 時:令和元年11月28日(木)14:00~16:20
場 所:綿商会館6階
議 題
1.令和元年度事業経過報告について
2.平成30年度に実施した主な事業の報告について
 (1)工場における水の効率運用のための新評価指標調査
 (2)既存施設を活用した分流式・合流式下水道における効率的な
    雨天時下水処理システム開発

3.その他
 (1)海外技術者研修者募集のご案内について
 (2)第26回造水シンポジウムの開催について
特別講演
「逆浸透膜の技術開発史から見た企業のイノベーション活動」
 一橋大学大学院経営管理研究科経営管理専攻准教授  藤原 雅俊


2.再生水の工業利用に関する国内審議委員会
 本事業は、ISO/TC282「水再利用」の中で、中国とイスラエルの提案により、平成28年7月にSC4「再生水の工業利用」が設立されたことを受け、造水促進センターが、国内審議団体を務めているものである。TC282全体の国内審議団体は、国土交通省水管理・国土保全局下水道部流域管理官が務めているが、SC4の対象範囲が、工場排水の再利用を主体とすることによるものである。国内審議団体としての任務は、SC4の活動に対する国内の対処方針案(原案作成を含む)の検討・作成、及び日本工業標準調査会(JISC)への提出や、国際標準化活動に関与する日本代表委員の決定などである。
 令和元年度は、委員をお願いしている大学・研究機関、国交省・経産省関係者、関係団体、民間企業等9名に、SC4活動に関する情報をメールで共有し、意見交換を適宜行った。
 また、イスラエルや中国が開発している規格案に対して、投票やコメント提出を行った。


3.技術普及・広報事業

 造水技術の普及啓発活動として、会員等にメールニュースとして「造水関連情報」を月に2回配信するとともに、(公財)河川財団から河川整備基金の助成を受けて作成した「造水技術に関する-膜と水処理用語集-」、「造水技術に関する研究開発及び調査等の事例集」、「河川水循環系における水活用技術(造水技術)Q&A集」及び「河川を中心とした水循環系技術マップ」等の造水技術に関する資料希望者に無料配布を行っている。
 また、平成30年11月から、ホームページに会員専用頁を作成して、年3~4回程度の頻度で海外の造水関連情報を「ZOSUI news~造水ニュース~」として掲載している。

4.その他

 経済産業省、国土交通省、環境省、NEDOJETROJICAJOGMEC等の公募事業については、積極的に提案している。また、外部機関からの依頼による各種調査等も積極的な対応を図り、国内外における水環境の保全に貢献するとともに、収入増を図るよう活動を行った。

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