造水促進センター
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 令和2年度事業計画

Ⅰ.
造水技術に関する研究開発事業
Ⅱ. 造水に関する調査研究事業
Ⅲ. 造水に関する普及啓発事業
Ⅳ. 造水に関する研修事業
Ⅴ. その他事業
Ⅵ. 会務及び技術普及・広報事業


 Ⅰ.造水技術に関する研究開発事業(公益)

1.FO膜を用いた超省エネ型下水処理システムの開発
 本事業は、現在の下水処理技術の主力である標準活性汚泥法(=好気性生物処理)とは異なるメタン発酵法(=嫌気性生物処理)の、下水処理への適用を検討することを目的とする。
 嫌気性処理は、好気性処理に比べてはるかに消費エネルギーが少ない特徴を有するが、原水中のCODが高濃度であることが必要条件となる。本研究は、海水を駆動液とするFO(正浸透)膜により排水中の有機物を濃縮することにより、嫌気性処理法の適用の可能性を探究する。
 本事業は、国土交通省下水道応用研究事業の採択を受け、本財団を研究代表者として、北九州市立大学、長崎大学、水ingエンジニアリング㈱及び日本水工設計㈱の共同研究事業として実施するものである。


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 Ⅱ.造水に関する調査研究事業(公益)

1.海外地下水の処理技術の調査
 海外における河川水水質悪化、水量の減少に伴い、代替水源としての地下水利用に向けて汚染物質や塩分等の処理が必要となっている。本事業はこれら地下水の利用目的に応じた処理技術の調査・検討を行うものである。
 (本事業は国の平成31年度予算の成立が前提である。)

2.海外製油所の環境負荷低減に関する支援事業
 本事業は、水環境保全に関するものであり、海水淡水化及び排水濃縮に係る日本の最新技術を製油所に適用することが目的である。そのための調査及び適用検討を行うものである。
 (本事業は国の令和2年度予算の成立が前提である。)

3.再生水製造の省エネ性・信頼性に関する国際標準化
 本事業は、ISO/TC282「水再利用」(TC:専門委員会)の分野で、日本が強みとする再生水製造システムやそれを構成する水処理技術の性能評価方法等を国際規格として開発することにより、技術・製品の差別化を容易とし、水インフラ輸出の優位な展開に貢献するものである。水インフラの新たな市場を形成するとともに、システムやその構成製品である製造装置等の拡販に繋がり、それに伴う省エネ効果の拡大や地球温暖化対策に資するものと期待される。
 平成28年度までの3か年事業に続き、平成29年度からの3か年事業の中で、日本の提案による性能評価規格である「再生水処理技術ガイドライン」のPart 1Part 8のシリーズ規格の開発を進めてきた。その結果、Part 1(一般概念)、及びPart 2(システムの環境性能評価)を、IS(国際規格)として発行した。また、システムを構成するオゾン処理、紫外線消毒、膜ろ過、イオン交換の4技術の性能評価規格について、Part 3Part 6として関係企業や各協会と協力してドラフトの作成を進め、FDIS(最終国際規格案)またはDIS(国際規格原案)の段階まで進めた。なお、Part 7は韓国提案による促進酸化処理(AOP)の技術に関する規格である。さらに、Part 8(経済性評価)として、処理技術の経済性をライフサイクルコスト(LCC)で評価する規格の開発を提案し、ドラフトの作成を進め、CD(委員会原案)の段階まで進めた。
 令和2年度は、Part 3Part 6(個別技術の性能評価)、及びPart 8(経済性評価)のドラフト改訂を進めるとともに、新たにPart 9(信頼性評価)として、システムの信頼性評価に関する規格開発を、文献調査、実証データ解析、ケーススタディ等をもとに進め、新規作業項目として提案をめざす。
 規格開発にあたっては、性能評価指標や評価方法の妥当性の裏付けとするため、ウォータープラザ北九州を活用し、再生水の水質リスク低減や省エネ効果、性能の安定性に関する実証データを引続き取得していく。なお、国土交通省が国内審議団体を行うISO/TC282の専門委員会とも連携した活動を行う。
 本事業は、外部からの委託事業として実施するものである。
 (本事業は国の令和2年度予算の成立が前提である。)

4.省エネを実現する水処理再生膜のグレード分類に関する国際
  標準化

 本事業は、使用済みの水処理膜を再生した再利用膜を性能によってグレード付けをする国際規格を開発するものである。これにより、性能に優劣のある再利用膜に適正な評価を与え、再利用膜の新たな市場創出に資するとともに、品質の良い日本製膜の差別化を図ることを目的としている。
 省エネ効果に関しては、新膜の製造に比べて使用済み膜の再生工程に関わるCO2排出量は非常に少なく、また、膜の再利用促進は、膜の廃棄を減らし、廃棄工程に関わるCO2排出量も削減されるなど大きな効果がある。それは、水処理業界としての環境保全やSDGsのアピールにもなる。
 令和2年度は、薬品による膜の性能回復効果等を確認すべくウォータープラザ北九州などの設備で実験を実施し、国際標準化の国際会議で提案を行う。
 本事業は、外部からの委託事業として実施するものである。
 (本事業は国の令和2年度予算の成立が前提である。)

5.水再利用の国際標準化に係わる支援業務
 本事業は、TC282(水の再利用)SC3(リスクと性能評価)の事務局活動を支援し、国際標準化や国際会議への対処方針案等とともに、標準規格の普及に向けた活用方策を検討することで、水分野における本邦優位技術の国際展開を促進する。具体的には、国内関連団体が主体に進める規格開発や、他国提案による開発規格に関する情報を国内の関係者に共有して意見を求めることにより、規格内容の改善、規格間の不整合をなくす調整について提案する。また、本邦の技術提供者や、アセアン国など市場国関係者による規格の活用を促進するため、セミナー等の開催を検討する。
 本事業は、外部からの委託事業として実施するものである。
 (本事業は国の令和2年度予算の成立が前提である。)

6.随伴水含有有価物回収技術の調査
 本事業は、随伴水に含まれる有価物を回収するための安価かつ競争力の高い技術を確立し、総合的な有価金属回収システムを構築することを目的としている。
 令和2年度は、同システム構築のために必要な実験、実験に基づくシステム構築の検討等を実施する。
 本事業は、外部からの委託事業として実施するものである。
 (本事業は国の令和2年度予算の成立が前提である。) 

7.水の効率運用評価指標ガイドライン作成調査
 本事業は、水使用に関する世界的な動向を踏まえ、工場等における水使用に関して適正な評価がなされるよう水使用合理化の効果を評価する新たな手法の確立と普及促進を目指すものである。工場等における効率的な水使用合理化の評価を世界に通用する指標により適切に行い、それに基づき対策すること及び環境影響への対応を広くアピールすることは、多岐にわたる各種産業の経営の強化あるいはグローバル展開を図るうえで必要不可欠である。
 本事業に先立ち、平成29、30年度に『工場を製品と見立てたウォーターフットプリント的検討手法』による新しい評価指標について、実際の工場を対象として算定を行い、具体的な効果の提示と適用時の課題についての抽出検討を実施した。その結果、実際に当該指標を使用するに当たり、使用者の利用上の便宜向上を図ることが必要であることが課題として挙がり、その導入促進のためには具体的な適用方法を事例として提示するとともに、適用のためのガイドライン化が必要であると考えられた。
 令和2年度は、当該指標の普及促進をより一層図るため、元年度に引き続き、今後2か年計画で具体的な適用事例検討とガイドライン化についての調査・検討を実施する。
 本事業は、本財団の自主事業として実施するものである。

.「国内外における下・排水再生利用の実用例」普及促進セミ
  ナー

 本事業は、水に関して、未来への社会的持続可能な発展のためには、水を効率的使用する以外にも、下廃水を処理して再生する造水技術が非常に重要となり、循環型社会への構築が必要である。SDGsの目標では、2030年までに、水・衛生向上のための再生水利用への取り組みの拡大等を図ることとされている。
 令和2年度は、令和元年度に作成した「国内外における下・廃水再利用の実用例」に関してのセミナーを東京及び大阪で開催を予定し、普及促進を積極的に実施する。
 本事業は、本財団の自主事業として実施するものである。

9.海外工業生産における水利用の国際規格開発
 本事業は、平成28年度から開始し、海外での工業生産活動に関係するTC224/WG12「水効率管理」やTC8/SC13/WG3「海水淡水化」について国際規格の開発動向を把握し、改善や活用に関する提案をするものである。特に、開発される規格が、日本企業の生産活動に不利益を生じることなく、また、優れた水利用技術が適正に評価されるよう、規格内容の改善や活用提案を行う。
 「水効率管理」は、シンガポールが、国内で2013年(平成25年)から施行しているSS577規格をベースに、認証付きの国際規格をめざして提案したもので、各事業所による節水を目的に、継続的に目標設定、計画、実行、見直しを義務付けるものである。その手段となる水再利用については、TC282「水再利用」の規格を参考にできる旨の追加を日本から提案した。本規格は、令和元年7月に認証規格としてIS(国際規格)発行され、主にシンガポール国内で活用・運用が始まっている。
 令和2年度は、引続き規格の活用・運用動向を把握するとともに、国内の関連団体と情報共有し、認証規格への考え方、意見や要望をもとに、規格への対応を検討する。また、関連するTC282「水再利用」の規格の活用についても検討を加える。
 「海水淡水化」は、平成30年に中国による新作業項目(NP)提案が承認され、ドラフトの作成が開始されたことから、令和2年度も、引続き本財団会員による検討会等を実施し、情報共有化と対応の検討を行う。
 本事業は、本財団の自主事業として実施するものである。

10.新規事業
 本財団では、従来外部からの資金により造水技術に関する調査、研究開発及び支援業務等を実施している。
 令和2年度においても同様に、各種公募案件に積極的な対応を図り、事業の獲得、拡張に努めていく予定である。


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 Ⅲ.造水に関する普及啓発事業(公益)

1.国内外への造水技術の普及促進活動 
 近年、世界的に水不足、水質の悪化などの水に関する問題が発生している。
 そこでこれらの課題に対して、これまでに本財団が蓄積してきた各種の造水技術に関する情報発信を行い、国内外に普及・促進するとともに、日本の企業の海外への水ビジネス展開に寄与することを目的としている。
 令和2年度は、下記の事業を実施する。
(1)英語版及び日本語版造水技術データベースの修正、追加を実施して、情報発信を行う。
(2)国内外の水関連国際会議、展示会、シンポジウム等に積極的に参加して造水技術に関する普及促進を行う。
(3)日本の造水技術を紹介するため、国内外に職員等を派遣し、水に関する情報収集を行い、造水技術の普及促進を図る。
(4)最新の造水技術に関して調査、企画してシンポジウムを開催する。
 本事業は、本財団の自主事業として実施するものである。


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 Ⅳ.造水に関する研修事業(公益) 

本業務は、海外から研修生を受け入れ、日本の廃水再生利用技術、淡水化技術及び水使用の合理化等造水技術についての講義、工場視察等を実施し、日本の技術を移転するものである。

1.造水技術に関する海外技術者研修
 本研修事業は、今までの経験を基に、主に日本の排水処理・再利用の技術紹介を中心とし実施するものである。
 令和2年度の研修生は、中東、東欧その他の国々から計2~3名を予定している。研修は、令和2年9月7日~9月19日(13日間)に実施する予定である。
 本事業は、本財団の自主事業として実施するものである。


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 Ⅴ.その他事業

1.造水技術に関する技術評価
 日本国内においては、水処理設備向けに高効率、新素材を採用した先進的なシステム、製品等の開発が進められている。しかしながら、これらの先進的なシステム等は、水処理設備に直ちに導入展開する状況に至っていないものもある。そこで、造水技術に関する技術評価制度によってこれらの技術を用いたシステム、製品等の適合性及び実用性の評価を行うことで、当該技術を用いたシステム、製品等を早期に普及促進させることを目的とする。
 
本事業は、外部からの委託事業として実施するものである。

2.省エネ型新規MBR膜モジュールの実証研究
 
本事業は新型散気管ならびにダブルデッキを適用した省エネ型新規膜モジュールについて実プラント規模の実証試験を行い、曝気空気量の低減を主体とした省エネ効果と、長期連続運転における安定性を確認し、MBRの更なる省エネ化を図ることを目的とする。
 令和2年度は、令和元年度から引き続きウォータープラザ北九州のMBR設備に設置した新型膜モジュールを用いた実証実験を実施し、長期運転における省エネ効果を検証する。
 本事業は、会員企業と共同で実施するものである。

3.研究開発コンサルタント事業
 本事業は、研究開発についてコンサルティングを実施するものである。
 企業が開発中のテーマについて、研究の進め方、調査の仕方、データの取得などについてアドバイスを月1回の実施で行う。
 本事業は、会員企業からの委託事業として実施するものである。

4.新規事業
 本財団では、従来から外部資金により造水技術に関する調査、研究開発及び支援業務等を実施している。
  令和2年度においても同様に、各種公募案件に積極的な対応を図り、業務の多様に努めていく計画である。

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 Ⅵ.会務及び普及・広報事業

1.会 務
(1)評議員会    6月(定例)、3月(臨時)の2回開催する。
(2)理事会     6月、3月の2回以上開催する。
(3)事業評価委員会 2回以上開催する。
(4)会員会     1回開催する。

2.造水技術普及・広報事業
  本財団が実施している各事業等について、造水ニュース及びホームページ等を活用して国内外に広く情報発信を行う。また、再生水の工業利用に関する国際標準化のための国内審議委員会活動を通じて、造水技術の普及促進を図る。
 

3.その他
 経済産業省、NEDOJICAJETROJOGMECJCCP等の公募事業については、積極的に提案していく。また、外部機関からの依頼による各種調査等も積極的な対応を図り、国内外における水環境の保全に貢献するとともに、収入増を図る。なお、これらの新規事業の適切な進捗に要する業務の運営管理については、財団の実施する自主事業の弾力的な運営により行うこととする。
 
また、本財団で実施する各事業については、それぞれ年度ごとに成果報告書を取りまとめ、その成果の普及に努める。
 


収支予算書(PDF 116KB)

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