2023(令和5)年度事業報告

Ⅰ 造水技術に関する研究開発事業
Ⅱ 造水に関する調査研究事業
Ⅲ 造水に関する普及啓発事業
Ⅳ 造水に関する研修
Ⅴ その他事業
Ⅵ 会務及び技術普及・広報事業

 
* (公財)JKAからの補助事業(競輪補助事業)
19年度(PDF 12KB)
20年度(PDF 12KB)
21年度(PDF 12KB)22年度(PDF 12KB)
24年度(PDF 12KB)25年度(PDF 184KB)
26年度(PDF 172KB)27年度(PDF 248KB)
28年度(PDF 168KB)29年度(PDF 220KB)
30年度(PDF 204KB)2019年度(PDF 128KB)
2020年度(PDF 171KB)2021年度(PDF 200KB)
2022年度(PDF 200KB) 

< 概 要 >

令和5年度は、今後の調査事業への展開を目指した新規受託事業に注力した。研究開発事業1 件、調査研究事業10件、普及啓発事業3件、研修事業1件、その他の事業12件の計27事業を実施した。これらのうち、受託事業は22件、自主事業は5件である。

 

Ⅰ 造水技術に関する研究開発事業

1.活性汚泥併用型生物膜処理システムの開発

 

我が国は、2050年のカーボンニュートラル実現を目指している。国内の下水道から排出される温室効果ガスは年間約600万トンであり、特に水処理工程における送風機の電力消費によるCO2排出量が非常に大きく、その削減が求められている。また硝化反応が不十分な反応槽では、地球温暖化係数がCO2の310倍であるN2Oガスも大量に放出されている。

本事業で開発に取り組む活性汚泥併用型生物膜処理システムは、活性汚泥法(標準法)の反応槽前段にMABRモジュールを設置し、中空糸膜の表面に形成した生物膜層へ酸素を直接供給するものであり、効率的に酸素を供給することで曝気風量を大幅削減でき、また反応槽からのN2Oガスの発生も抑制する。開発目標として曝気動力の50%削減(対標準法)、N2O発生量の50%削減(対標準法)を目指している。

本事業は、令和5年度下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)のFS調査として採択されたもので、本財団を研究代表者として、北九州市立大学、秋田工業高等専門学校、(株)日立プラントサービス、DDPスペシャルティ・プロダクツ・ジャパン(株)及び日本水工設計(株)の共同研究事業として実施した。

本事業は、国土交通省からの委託事業として実施したものである。

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Ⅱ 造水に関する調査研究事業

.イラク南部地域の石油精製施設等における地層水処理技術導入に関する共同事業
 

本事業は、塩分を含む地層水の処理技術をイラクに導入することを目的としている。現在までに、検討を踏まえて選定した処理プロセスからなる実証試験装置をイラク側が調達し(装置は水ingエンジニアリング㈱が製作)、イラク技術者のトレーニング(実証試験装置の操作、運転方法、設置方法等)を日本国内で実施した。実証試験装置の仕様に関して疑義(原産国表示との整合性、最高周囲温度(55℃)への適合性)が発生し、受け入れ承諾を得ることに時間を要したが、ようやく受入れ承諾が得られ、保管していた実証試験装置の整備輸出に向けた準備を行い、令和4年8月9日横浜港からイラクに向けて輸送され、同年9月17日にイラクのウムカッスル港に到着した。実証試験装置通関手続きの変更等があり引き取りが遅延していたが、令和5年11月上旬に通関を終え、サイトであるルハイスに到着した。現在、実証試験装置の設置を行っている。令和6年2月6~8日に技術会議を開催し、実証試験の実施方法等について協議した。

本事業は、(一財)JCCP国際石油・ガス・持続可能エネルギー協力機関(JCCP)から本財団と水ingエンジニアリング(株)との共同受託事業として実施したものである。

 


2.再生水製造の省エネ性・信頼性に関する国際標準化
 

本事業は、ISO/TC282「水の再利用」(TC:専門委員会)の分野で、日本が強みとする再生水処理システムや構成する処理技術の性能評価方法等を国際規格として開発することにより、システム・技術の差別化を容易とし、水インフラ輸出の優位な展開に貢献するものである。水インフラの新たな市場を形成するとともに、処理システムや構成製品の拡販に繋がり、それに伴う省エネ効果の拡大や地球温暖化対策に資するものと期待される。

平成26年度から開始された事業の中で、日本の提案による性能評価規格である「再生水処理技術ガイドライン」のシリーズ規格を開発してきた。その結果、Part 1(一般概念)、Part 2(システムのGHG排出量評価)、システムを構成する4技術の性能評価規格(Part 3~Part 6、オゾン処理、紫外線消毒、膜ろ過、イオン交換)、及びPart 8(経済性評価)として、再生水システムの経済性をライフサイクルコスト(LCC)で評価する規格について、関係機関、大学、民間企業・団体等と協力して規格の開発を進め、IS(国際規格)として発行した。なお、Part 7は韓国提案による促進酸化処理(AOP)の技術に関する規格である。さらにPart 10(信頼性評価)として、システムが故障なく長期間安定して処理目標を満足する性能を評価する規格について、令和4年度に新規作業項目として提案した結果、各国による投票で採択され開発を開始した。

令和5年度は、Part 10(信頼性評価)のCD(委員会ドラフト)の改訂作業を進めた。規格開発にあたっては、性能評価指標や評価方法の妥当性の裏付けとするため、水再利用を実施する自治体や民間企業から、再生水の水質リスク低減や省エネ効果、性能の安定性の事例に関する情報、データ等の提供の協力を得ている。なお、国土交通省が国内審議団体を行うISO/TC282の専門委員会とも連携した活動を行った。

本事業は、(株)三菱総合研究所からの委託事業として実施したものである。 


3.省エネを実現する水処理再生膜のグレード分類に関する国際標準化
 

本事業は、使用済みの水処理膜を再生した再利用膜を性能によってグレード付けをする国際規格を開発するものである。これにより、性能に優劣のある再利用膜に適正な評価を与え、再利用膜の新たな市場創出に資するとともに、品質の良い日本製膜の差別化を図ることを目的としている。

省エネ効果に関しては、新膜の製造に比べて使用済み膜の再生工程に関わるCO2排出量は非常に少なく、また、膜の再利用促進は、膜の廃棄を減らし、廃棄工程に関わるCO2排出量も削減されるなど大きな効果がある。それは、水処理業界としての環境保全やSDGsのアピールにもなる。

令和4年度で3か年の活動は終了し、令和5年度から新たな案件として、この規格の開発を継続し、ISOでのDIS(国際規格原案)の承認まで進めることができた。

本事業は、(株)三菱総合研究所からの委託事業として実施したものである。

 


4.水再利用の環境リスクと省エネ性評価に関する標準化調査

 

本事業は、ISO/TC282「水の再利用」の活動に関連し、水再利用に伴う環境性向上効果(環境リスクの低減や省エネ性等)を定量的に評価し明確に示す指針(ISO/規格)の開発を提案するための調査を進めるものである。水再利用の有効性を国内外の政府関係者や水利用者、水再利用の事業者等に示すことで、地域開発や設備更新時の水再利用の採用など事業案件形成、投資拡大への後押しになると期待される。

令和5年度は、環境性向上効果の各要素やそれらを統合化して評価する指標や定量化方法について、文献検索や実証データの収集、専門家へのヒヤリング等により調査を進めている。

本事業は、(株)野村総合研究所からの委託事業として、京都大学と共同で実施したものである。

 


5.水処理再生膜の評価試験方法に関する標準化調査

 

本事業は、廃棄された使用済みRO膜を薬品洗浄等で再生・再利用するに際しての評価試験方法に関しての調査事業である。

新膜製造に比べて安価で省エネ効果の高い再利用膜の新たな市場を創生するとともに、その市場において品質の優れる日本製の再利用膜が適正に評価できる評価試験方法を確立することを目標とする。

令和5年度は、実用的な再生膜試験方法を構築するため、中央大学及びウォータープラザ北九州での試験を実施している。また、海外における廃棄膜の再利用の調査をWebで行った。

本事業は、(株)野村総合研究所からの委託事業として実施したものである。

 


6.水再利用の国際標準化に係わる支援業務

 

本事業は、TC282(水の再利用)SC3(リスクと性能評価)の事務局活動を支援し、各国の提案による国際標準規格の開発や国際会議での協議への対処方針案等とともに、開発した規格の普及に向けた活用方策を検討することで、水分野における本邦優位技術の国際展開を促進するものである。具体的には、国内関連団体が主体に進める規格開発を推進するとともに、他国提案による規格開発の情報を国内の関係者に共有することで、規格間の不整合や本邦への不都合をなくし、規格内容を改善するための意見をまとめ提案する。また、本邦の技術提供者や、アジアなど市場国関係者による規格の活用を促進するための方策等を検討した。

本事業は、国土交通省からの委託事業として実施したものである。

 

 

7.可搬型セラミック膜随伴水処理フィールド試験機製作に関する業務

 

本事業は、中東産油国のUAEにおける石油資源の採掘に付随する排水に関し、環境対策への対応を視野に試験実証を行うものである。

令和5年度は、装置製作に着手し、完成まで進めることができた。

製作においては、UAEの水処理装置製作会社を起用し、その製作指導、製作管理を造水促進センターにて実施した。

本事業は、(独)エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)からの委託事業として実施したものである。

 

8・セラミック膜随伴水処理技術商業機の基本設計に関する委託業務

 

本事業は、UAEの油田における随伴水処理にセラミック膜随伴水処理技術を適用すべく、商業規模のプラントの基本設計ならびに概略コストの算出を行った

本事業は、(独)エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)からの委託事業として実施したものである。

 

9.水の効率運用評価指標の普及促進に向けた調査

 

本事業は、水使用に関する世界的な動向を踏まえ、工場等における水使用に関して適正な評価がなされるよう、水使用合理化の効果を評価する新たな手法の確立と普及促進を目指すものである。

本事業では、世界に通用する指標とすべくウォーターフットプリント(WF)の考え方を応用し、かつ工場(対象)での水使用にフォーカスした、造水促進センターが提唱する『工場(対象)を製品と見立てたWF的検討手法』の考え方に基づき様々なケースでの適用事例検討を積み重ね、その結果をもって指標としての提案を行うものである。

本事業に先立ち実施した、電子部品製造工場、自動車部品製造工場及び石炭火力発電所等に対する検討では、水の合理化対策や操業の効率化あるいは回収処理システムの違いによる環境影響低減効果を適確に捉え、数値として見える化して示すことができ、本新指標が対象とする工場等の水使用に係る適切な評価に大いに有効であることを示すことができた。

令和5年度は、本新指標の普及促進を図るため、関係機関や民間企業へのPRや、さらに水効率管理の国際認証規格であるISO46001の適用による水使用合理化の評価への活用について検討を進めた。

本事業は、本財団の自主事業として実施したものである。

 

10.海外工業生産における水利用の国際規格開発

 

本事業は、平成28年度から開始し、海外での工業生産活動に関係するTC224/WG12「水効率管理」やTC8/SC13/WG3「海水淡水化」について国際規格の開発動向を把握し、改善や活用に関する提案をするものである。特に、開発される規格が日本企業の生産活動に不利益を生じることなく、また、優れた水利用技術が適正に評価されるよう、規格内容の改善や活用提案を行う。

「水効率管理」は、シンガポールの提案により開発され、令和元年に認証規格ISO 46001として発行された。各事業所による節水を目的に、継続的に目標設定、計画、実行、見直しを義務付けるものであり、主にシンガポール国内で活用・運用が始まっていることから、その動向調査を継続している。

「海水淡水化」は、中国の提案により開発が進められた「生産水の水質」に関する指針が令和3年にIS発行された。これは、当初から国内関係者と共同して日本からコメントを提出し、不都合を排除した規格とした。続いて令和4年に中国から提案された「用語定義」について、関係者と共同してコメントを提出し内容を改善してきた。

令和5年度は、引き続き「水効率管理」の認証規格の活用・運用動向を把握するとともに、国内の関連団体と情報共有し、関連する水再利用に関する規格や技術の活用につなげるための調査を進めた。 

また「海水淡水化」は、新規開発案として中国から提案された「脱塩性能の検証」に関する規格について、関係者と共同して動向を監視し、必要なコメント提出などの検討を開始した。

本事業は、本財団の自主事業として実施したものである。

 

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Ⅲ 造水に関する普及啓発事業

.国内外への造水関連技術の普及促進活動
 

近年、世界的に水不足、水質の悪化などの水に関する問題が発生している。

そこでこれらの課題に対して、これまでに本財団が蓄積してきた各種の造水技術に関する情報発信を行い、国内外に普及・促進するとともに、日本の企業の海外への水ビジネス展開に寄与することを目的としている。

令和5年度は、下記の事業を実施した。

(1)英語版及び日本語版造水技術データベースの修正、追加を実施して、情報発信を行った。

(2)国内外の水関連国際会議、展示会、シンポジウム等に積極的に参加して造水技術に関する普及促進を行った。

(3)日本の造水技術を紹介するため、国内外に職員等を派遣し、水に関する情報収集を行い、造水技術の普及促進を図った。

本事業は、本財団の自主事業として実施したものである。

2.ウォータープラザ北九州施設の活用に向けた運用管理・広報活動業務

 

本事業は、令和4年度に北九州市との「ウォータープラザ北九州」のデモプラントとテストベッドを運用する基本協定締結に基づいて実施するものである。

令和5年度も引き続き、北九州市が所有する「ウォータープラザ北九州」の施設の運用管理を行うとともに、下水の膜分離活性汚泥装置(MBR)の省エネ化を目指した自主研究、ならびに国際標準化事業等の実証研究を実施する。また、「ウォータープラザ北九州」には新しい水処理技術・システムを開発するための「MBRデモプラント」と海水や下水を用いた実験が可能な「テストベッド」があり、これらの活用を会員企業や各種団体に対してPRを行った。

 本事業は、北九州市からの委託事業として実施したものである。

 

3.AI、IoTなどを用いた最新の水処理技術の動向に関するセミナー

 

本事業は、水処理システムの操作におけるAI(人工知能)やIoT(Internet of Things)といったテクノロジーの導入が今後進むことが見込まれ、水処理技術分野のシステムにAI、IoT、DXなどを用いたソフトテクノロジーである電子情報への取り組みはSDGsへの貢献が非常に大きいと考えられることから、これらの最新情報に関してのセミナーを開催した。

セミナーは、東京で令和6年2月7日に会場での講演とWeb同時配信で開催し、Webも含めて194名の参加者があり成功裏に終了した。

本事業は、自主事業として実施したものである。

◇主 催:一般財団法人造水促進センター

◇日 時:令和6年2月7日(水)13:00~15:50

◇場 所:「主婦会館プラザエフ」地下2階「クラルテ」及びWebでの同時配信

◇講 演

 「水処理技術へのAIの活用の現状と課題」

    中央大学理工学部人間総合理工学科教授                  山 村   寛

 「AI等を用いた下水処理技術導入の課題と政策の方向性」

    東京大学大学院工学研究科都市工学専攻特任准教授           加 藤 裕 之

 「上下水道分野での運転高度化のあゆみ~自動制御とAI技術」

    株式会社日立製作所 研究開発グループ日立研究所

    脱炭素エネルギーイノベーションセンターシニア研究員         圓 佛 伊智朗

 「AI/IoTを活用した水処理装置管理サービスの未来像」

    栗田工業株式会社イノベーション本部デジタル戦略本部部長席        福 江   晋

 「造水促進センターからのご連絡」

    一般財団法人造水促進センター技術アドバイザー                          川   﨑   睦   夫

 

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Ⅳ 造水に関する研修

本事業は、海外から研修生を受け入れ、日本の廃水再生利用技術、淡水化技術及び水使用の合理化等造水技術についての講義、工場視察等を実施し、日本の技術を移転するものである。

1.造水技術に関する海外技術者研修
 

本事業は、今までの経験を基に、主に日本の排水処理・再利用の技術紹介を中心として実施するものである。

(1)海外技術者研修

本研修は、昨年度までに実施した排水処理・再利用コースを見直し、水資源の有効活用のための造水技術、水の国際標準化等の2つの分野の技術紹介を加えた4コースを設定し、ウエブセミナーとした。

対象者は、主にこれまで日本にて研修に参加された方々及びJICA主催の委託研修参加者を通じて視聴者を募集した。

 ア.研修は主に講義で、①造水促進センターの事業紹介コースは1テーマ、②排水処理コースは11テーマ、③海水淡水化コースは6テーマ、④日本の文化の紹介は4テーマとした。

 イ.視聴者は、9か国25名で、新規応募者は18名であった。

 ウ.ウエブセミナーの公開期間は12月4日から12月18日までの15日間で実施した。

(2)国内向けセミナー

本セミナーの目的は、企業の工場等で勤務する実務者を対象に、排水処理や水処理に関する指導を行い、技術レベルを向上させることを目的とする。更に、個別の企業を対象とする事で、工場等で抱える排水処理問題や対応策についても専門家よりアドバイスを受ける機会を得る事が可能となる。

国内向けセミナーの実施においては、Webでの講義、並びに対面での講義を想定し、対面においては、より具体的な現場の抱える課題に対し、生の声を聴きながらアドバイスを行う。

 ア.事前に工場の課題に対応する内容を相談の上、2講座程選択

 イ.事業所単位での実施により、効率的に実務者への教育を実施

 ウ.講義を通じ、工場等での困っている問題等に専門家がアドバイス

 エ.講義の結果を通じ、別途企業へのアドバイザリー業務の実施も可能

本事業は、本財団の自主事業として実施したものである。

 

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Ⅴ その他事業

1.研究開発コンサルタント事業
 

本事業は、研究開発についてコンサルティングを実施するものである。

企業が開発中のテーマについて、研究の進め方、調査の仕方、データの取得などについてアドバイスを月1回行った。

本事業は、会員企業からの委託事業として実施したものである。 


2.プラント設計支援業務

 

本事業は、海外に建設する化学プラントに付随する海水淡水化プラントの設計業務を支援するものである。

令和5年度は、海水淡水化プラントに関連する海淡後処理設備ならびに下水処理設備についての設計業務の支援を行った。

本事業は、会員企業からの委託事業として実施したものである。 


3.中東水処理設備診断及びアップグレード支援業務

 

本事業は、中東の油田の既設水処理設備の状況を診断し、必要に応じて設備の改修・更新するとともにアップグレード要求に対応した設備追加についての調査業務を支援するものである。この水処理設備は運転開始後、相応の年数が経っており所定の排水を処理できていない状況にある。一方、発生する排水は年々増加し、さらなる追加設備が必要となっているだけでなく、最近になり処理排水の要求水質が厳しい方向に進み、新たな処理技術の検討も求められている。これらの課題について包括的に調査し、適切な提案をする業務の支援を行うもので令和5年10月に完了した。

本事業は、会員企業からの委託事業として実施したものである。 


4.浸透圧発電の中東への展開のための調査

 

本事業は、浸透圧発電を中東に展開するためのものであり、令和5年度は以下の項目に関して調査を行った。

(1)中東諸国7か国の概況調査
中東諸国7か国は、サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦、オマーン、カタール、バーレーン、クウェートで、 政治、経済、インフラ、投資(日系企業進出状況)を調査。

(2)中東諸国7か国の海水淡水化施設および下水処理場の整備状況について、 

・各国の海水淡水化施設および下水処理場の所管官庁
・各国の海水淡水化施設および下水処理場の稼働状況/計画

の調査を行った。

(3)中東諸国7か国における浸透圧発電との競合調査
調査は令和5年6月末に終了し、報告書を提出した。

本事業は、会員企業からの委託事業として実施したものである。

5.サウジアラビア水環境協議会(SAWEA)水技術視察ミッション支援業務

 

本事業は、令和5年度サウジアラビア水環境協議会のミッション対応として、同協議会より7名の訪問者を迎え、8月28日から9月1日までの日程で、講義並びに視察対応を行った。

講義においては、日本の過去の環境問題や関連する法規制の歴史を解説すると共に、日本企業の持つ最先端の水処理技術や省エネ水処理技術に関し教育を行った。

一方、視察先には、横浜市大型浄水場、企業の研究機関、学術関係の研究施設、企業の生産工場を選定し、先端の技術や管理手法を学習頂いた。研究機関や、学術関係研究施設では、実際の研究内容を直に確認し、その環境を肌で感じて頂く事が出来た。

ミッション参加者は、講義並びに視察内容について、満足のもと帰国された。

本事業は、(一財)中東協力センター(JCCME)からの委託事業として実施したものである。

 

6.モンゴル水環境状況調査並びに技術支援業務

 

本事業は、モンゴル現地企業からの技術支援要望による令和4年度の調査訪問を皮切りに、令和4年度AOTS(海外産業人材育成協会)からの委託事業「令和4年度技術協力活用型・新興国市場開拓事業(インフラ海外展開支援) 研修等プログラム」として継承され、その成果の元、JICA専門家派遣の要請を受け、造水促進センターより支援する事となった。

本プロジェクトは令和5年9月より令和7年7月までの期間で実施される予定であり、モンゴル国ウランバートル市における水環境改善に向けた技術支援、調査、並びに改善にむけた提言を行う予定である。

本事業は、会員外企業からの委託事業として実施したものである。

7.持続可能な水環境保全に関する欧州共同研究の支援業務

 

本事業は、国連大学サステイナビリティ高等研究所がドイツ、チェコ、リトアニア、スロバキア、ポーランドと共同で進めている「The SMARTWater Domainプロジェクト」に関連して、日本の優れた水再利用事例を紹介して各国に広く水再利用を促進するためのツール作りを目指しているものである。  

造水促進センターが今まで行ってきた水合理化・再利用の普及に向けたノウハを活用できると考え、令和4年度は3業種(製鉄、化学、食品)に対するアンケート調査を支援した。

令和5年度は、上記3業種に下水道事業者を加えて、水再利用に関するインタビュー調査を支援した。

本事業は、国連大学からの委託事業として実施したものである。

 

8.新規事業に伴う対応すべき法令条例調査

 

本事業は、新規事業で用いる水再生システム(浄化槽ユニット、水再生ユニット)に関して、対応すべき関連法令/条例の調査を行うものである。調査は、法令については、日本国内法令 、条例については、3県、4市について行った。

本事業は、会員外企業からの委託事業として実施したものである。

 

9.石川県地下水合理化計画審査・指導業務

 

本事業は、石川県の「ふるさと石川の環境を守り育てる条例」に基づき提出される地下水使用合理化計画書の書類による審査並びに地下水使用の実態調査・合理化技術の検討を行う。

令和5年度も条例に基づき提出された27事業所の地下水使用合理化計画についての書類審査を実施するとともに、実態調査対象3事業所についてのアンケート調査や質疑応答内容の取りまとめ及び指導案作成を行った。

本事業は、石川県からの委託事業として実施したものである。。

10.アンゴラ国ナミベ州・太陽光発電を活用した海水淡水化調査事業の委託業務

 
 

本事業は、経済産業省の「質の高いインフラの海外展開調査事業」として、アンゴラ国において太陽光発電を用いた海水淡水化プラントの開発事業調査を行うものであり、本財団は海水淡水化プラントの設計仕様等の支援業務を担当した。

本事業は、会員外企業からの委託事業として実施したものである。

 

11.イラン研修

 

イランのPIDA(Private Investors of Desalination Association)とIWC(Iran Water Center)に研修を行うもので、海水淡水化、上下水分野を対象とする。研修は、講義と浄水場、海水淡水化施設、研究施設などの視察を組み合わせて実施する。PIDAの研修は、2月26-27日に実施し、IWCの研修は、3月4~8日に実施した。

 本事業は、(一財)中東協力センター(JCCME)からの委託事業として実施したものである。 

12.中東石油関連施設水処理技術支援業務

 

本事業は、中東石油関連施設における、既設水処理設備安定運転に向けての技術支援を行うものであり、令和5年度は、現地水処理設備情報並びに運転情報を収集、水処理不具合の要因解析の為、課題の抽出並びにメカニズムの推測を実施し、改善点について指導した。

本事業は、会員外企業からの委託事業として実施したものである。 

 

 

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